相手の「奥様」に
贈ることの意味
天野 いろんなお土産があるなかで、弊社の汐うにをお土産に使っていただき嬉しい限りです。率直に伺いたいのですが、どうしてうちの商品をお土産に選んでいただいているのでしょうか。
平野 理由は2つあるんですが、まず一つは小さいこと。僕は出張先にお土産として持っていくことが多いのですが、夜はほぼ外で食事をするので二次会や三次会まで持ち歩かないといけないんです。そんな時に大きなお土産は格好がよくないじゃないですか。なので、このサイズ感は嬉しいですね。
そしてもう一つ大きな理由は、大事に食べてもらえること。中を開けた時に「これは何かいい物をもらったな」という感覚が、天たつさんの汐うににはあるからです。汐うにを持っていくのは、たいがい社長が多いのですが、僕はその方に差し上げるのではなく「これ、奥さんに渡してください」って言うんですよ。
天野 社長ではなく奥様にですか?
平野 そうです。「旦那さんを今日お借りしてすみません」という気持ちを込めて奥さんに渡します。これがお菓子のような手土産だと、社長に渡しても家に持ち帰る前に社員にあげてしまうことが多いんじゃないかな。基本的に社長はお土産をもらい慣れてるので。そうすると誰からもらったか分からないまま、社員の間でパーッと消えてしまう。でも天たつさんの汐うになら、家に持って帰ると思うんですよ。しかも「奥さんへのお土産」として渡すと、「福井の人から珍しい物もらったよ」と、一緒に食べてくれるはず。そこで、僕や僕の会社が話題にのぼることもあるでしょう。基本的に、お土産はそういう使い方をするもんだと僕は思っていて。やっぱり家族や奥さんの心をつかむのが相手の方の懐に深く入る一つのポイントじゃないかなと思うんですよね。だからこそ僕は天たつさんの汐うにを使わせてもらっています。
天野 ありがとうございます。ご自身の経験をふまえ、相手の気持ちに寄り添い、お土産を選ばれているんですね。
平野 商売って表面上やっていてもうまくいかなくて、いかに相手の方の懐に入るかが大事だと思っています。よく僕のところに「御社でうちの商品を使ってもらうにはどうしたらいいですか」と他社の営業が来るんです。その時に「じゃあね、お客さんの誕生日は知ってる? お客さんの家族構成は知ってるの?」と聞くと答えられない人がほとんどですね。
僕がサラリーマンの時には、まず顧客である病院の先生と奥さんの誕生日、そして家族構成を、接待の時にさりげなく聞き出すようにしていました。そして、聞いた限りは、必ずプレゼントを贈るようにしていました。たまに顔を出して「お世話になります。一つよろしくお願いします」と言ったって、一日に何人もお客さんが来たら存在を忘れられてしまう。だからこそ、「ご家族の心をつかむ」大切さはよく話しますね。
天野 お土産を奥様に差し上げるのも昔から実践されているのですか?
平野 僕が新入社員の時に当時の製薬会社の所長に教えていただきました。「接待のあとに『ご主人をお借りしてありがとうございます』という意味合いを込めて奥さんに贈る。そうしたらもう一回お前のことが家庭で話題になるから」って。それ以来ずっと実践しています。当時はお菓子を贈ることもあったけど、今はお菓子ではなく、家庭でちゃんと食べてもらえるものにたどり着きました。
天たつさんの汐うには食卓に並ぶ物でありながら、常温で持ち歩いても日持ちするので、すごく重宝してます。しかも美味しいだけでなくパッケージを見ると創業からの歴史やストーリーがわかるので、家庭の中で話題になるような魅力があると思っています。だから差し上げた方からも「先日はすごく珍しい物をいただきありがとうございます」と、御礼の連絡が来るんですよ。もしかするとそこから天たつさんのリピーターになる人もいるんじゃないかな。