天たつと私
vol.01
手土産は、相手だけでなく
そのご家族にも喜ばれるものを。
手土産は、相手だけでなく
そのご家族にも喜ばれるものを。
平野グループ
代表取締役社長
平野洋一様
株式会社天たつ
十一代目店主
代表取締役社長
天野準一
2016.10.03

汐うには昔から
食卓に並んでいた
親しみのある味

天野 今日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、平野社長が弊社の汐うにと出会ったきっかけをお教えいただけますでしょうか。

 

平野 うちは小さい頃から天たつさんの汐うにを買っていて、食卓のおともでした。大人になってからいろんな会社が汐うにのような商品を出していることを知ったんですよ。汐うにといっても見た目がゴロっとしているものや口あたりがなめらかでないものなど、会社によって違いますし、食べてみると、天たつさんの汐うにとは比べ物にならないほど味も全く違う。

 

大学は県外に行っていたのですが、久しぶりに福井に戻って片町に行った時に、天たつさんのお店を見て「昔よく食べたなぁ」と懐かしくなりました。

 

天野 小さい頃から食べていただいているんですね。ありがとうございます。先日は福井駅前のお店にもいらしていただいたとか。

 

平野 そうなんですよ。普段は社員に買ってきてもらうことが多いんですが、その時は出張で朝早く出発しないといけなくて。開店前にもかかわらず、対応して用意してもらいました。その節はとても助かりました。

相手の「奥様」に
贈ることの意味

天野 いろんなお土産があるなかで、弊社の汐うにをお土産に使っていただき嬉しい限りです。率直に伺いたいのですが、どうしてうちの商品をお土産に選んでいただいているのでしょうか。

 

平野 理由は2つあるんですが、まず一つは小さいこと。僕は出張先にお土産として持っていくことが多いのですが、夜はほぼ外で食事をするので二次会や三次会まで持ち歩かないといけないんです。そんな時に大きなお土産は格好がよくないじゃないですか。なので、このサイズ感は嬉しいですね。

 

そしてもう一つ大きな理由は、大事に食べてもらえること。中を開けた時に「これは何かいい物をもらったな」という感覚が、天たつさんの汐うににはあるからです。汐うにを持っていくのは、たいがい社長が多いのですが、僕はその方に差し上げるのではなく「これ、奥さんに渡してください」って言うんですよ。

 

天野 社長ではなく奥様にですか?

 

平野 そうです。「旦那さんを今日お借りしてすみません」という気持ちを込めて奥さんに渡します。これがお菓子のような手土産だと、社長に渡しても家に持ち帰る前に社員にあげてしまうことが多いんじゃないかな。基本的に社長はお土産をもらい慣れてるので。そうすると誰からもらったか分からないまま、社員の間でパーッと消えてしまう。でも天たつさんの汐うになら、家に持って帰ると思うんですよ。しかも「奥さんへのお土産」として渡すと、「福井の人から珍しい物もらったよ」と、一緒に食べてくれるはず。そこで、僕や僕の会社が話題にのぼることもあるでしょう。基本的に、お土産はそういう使い方をするもんだと僕は思っていて。やっぱり家族や奥さんの心をつかむのが相手の方の懐に深く入る一つのポイントじゃないかなと思うんですよね。だからこそ僕は天たつさんの汐うにを使わせてもらっています。

 

天野 ありがとうございます。ご自身の経験をふまえ、相手の気持ちに寄り添い、お土産を選ばれているんですね。

 

平野 商売って表面上やっていてもうまくいかなくて、いかに相手の方の懐に入るかが大事だと思っています。よく僕のところに「御社でうちの商品を使ってもらうにはどうしたらいいですか」と他社の営業が来るんです。その時に「じゃあね、お客さんの誕生日は知ってる? お客さんの家族構成は知ってるの?」と聞くと答えられない人がほとんどですね。

 

僕がサラリーマンの時には、まず顧客である病院の先生と奥さんの誕生日、そして家族構成を、接待の時にさりげなく聞き出すようにしていました。そして、聞いた限りは、必ずプレゼントを贈るようにしていました。たまに顔を出して「お世話になります。一つよろしくお願いします」と言ったって、一日に何人もお客さんが来たら存在を忘れられてしまう。だからこそ、「ご家族の心をつかむ」大切さはよく話しますね。

 

天野 お土産を奥様に差し上げるのも昔から実践されているのですか?

 

平野 僕が新入社員の時に当時の製薬会社の所長に教えていただきました。「接待のあとに『ご主人をお借りしてありがとうございます』という意味合いを込めて奥さんに贈る。そうしたらもう一回お前のことが家庭で話題になるから」って。それ以来ずっと実践しています。当時はお菓子を贈ることもあったけど、今はお菓子ではなく、家庭でちゃんと食べてもらえるものにたどり着きました。

天たつさんの汐うには食卓に並ぶ物でありながら、常温で持ち歩いても日持ちするので、すごく重宝してます。しかも美味しいだけでなくパッケージを見ると創業からの歴史やストーリーがわかるので、家庭の中で話題になるような魅力があると思っています。だから差し上げた方からも「先日はすごく珍しい物をいただきありがとうございます」と、御礼の連絡が来るんですよ。もしかするとそこから天たつさんのリピーターになる人もいるんじゃないかな。

新しい発想で
これからの一歩を
踏み出そう

 

平野 僕は小学校に入る前から汐うにをごはんに乗せて食べるのが好きだったのですが、汐うにはちょっと付けただけですごくインパクトがありますよね。お寿司屋さんに行くと、寿司に汐うにを入れて巻いてくれるのですが、あれはすごくおいしい。少しの量であれだけのインパクトがある物はなかなか無いと思いますよ。

 

天野 弊社天たつでは汐うにが人気で、ほかの商品が影にかくれてしまうということがあります。社長の会社では人気の商品と、それ以外の商品とでは扱い方の違いなどあるのでしょうか。

 

平野 うちは医薬品の商社ということもあり、商品も何万種類ものレパートリーがあるので、なかなか難しいですね。でも、商品って同じ物であっても、見せ方や売り方を変えることで新たな価値を発見できると思っています。

 

今、うちの会社では「新しい発想でこれからの一歩を踏み出そう」というスローガンでさまざまな取り組みを進めています。天たつさんほど歴史は長くはありませんが、何十年と先輩から受け継がれてきたなかで「もっといいやり方があるんじゃないか」とあえて今までのやり方を見つめ直すようにしているんです。社長一人で考えるのではなく、社員にも「発想を変えて今までとは違うやり方を考えてみては」と伝えると、新しいアイデアが生まれて面白いですね。現場のことは社員がよくわかっているので「私、こんなことを思ってたんです」とか「こうしたらどうですか」とか反応もどんどん生まれます。自分たちの提案が受け入れられると社員のモチベーションも上がりますし、何よりも心が通じる手応えがありますね。

 

天野 新しい発想で一歩を踏み出す大切さは私も大変共感します。令和の時代になり、天たつも時代に合わせたやり方で、お客様のニーズに常に応え続けていきたいという想いがあります。

 

平野 天たつという会社には創業から続く古き良きものがたくさん残っていると思いますが、天野社長がつくる新しい天たつにこれからも期待しています!

 

天野 大変勉強になるお話でした。ありがとうございました。

 

PROFILE
平野グループ 代表取締役 社長
平野洋一様
1960年8月23日生まれ。
2005年 代表取締役社長就任。
2009年 平野純薬株式会社へ社名変更。
役職名は取材当時のものです。

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