天たつと私
vol.07
汐うには、歴史と伝統が培った
信頼のおける手土産。
汐うには、歴史と伝統が培った
信頼のおける手土産。
株式会社勝木書店
取締役会長
勝木健俊様
株式会社天たつ
十一代目店主
代表取締役社長
天野準一
2019.07.06

価値をわかっていただける方に
贈りたい

 

天野 勝木さん、本日はお忙しいなかありがとうございます。勝木書店は福井をはじめ北陸地方や、千葉、埼玉、神奈川と関東地方でも展開しておられます。福井で知らない人はいないというくらい、広く親しまれているイメージです。

 

勝木 ありがとうございます。天たつさんは福井の老舗として伝統を守られていますよね。おいしいものを知っている人であれば、天たつさんのことを知らないわけがない。私はそのようなイメージを持っています。

 

天野 そう言っていただきありがたい限りです。普段、勝木さんはどのようなシーンで天たつをご利用いただくのでしょうか。

 

勝木 汐うにやもみわかめなどを手土産で使わせてもらっています。特に汐うには、福井に住んでいる私たちは手間暇かけられた価値の高いものだとわかりますが、県外の方の場合、汐うにを知らない方も多い。「この人であれば価値がわかる」という方に差し上げると大変喜ばれますね。

 

天野 具体的にどのような方にお渡しすることが多いのでしょうか。

 

勝木 お酒を飲む方やある程度の社会的地位にある方は、汐うにの価値をわかってくださるように感じています。会話のなかで、「この人なら汐うにを差し上げる喜んでいただけそうだ」となんとなくわかりますね。

汐うにはご飯のおともにも
ぴったり。

天野 汐うにはどのようにお渡しするのでしょうか。

 

勝木 「ご飯にのせると絶品です」と伝えています。お酒のつまみとして汐うにを召し上がる方は多いかと思いますが、私はお酒をあまり飲まないので。汐うにを熱いご飯にのせて食べるのが本当においしいと思っています。

 

天野 ありがとうございます。私も子どものころから汐うにご飯や汐うにおにぎりを食べてきました。汐うにとご飯の相性は抜群だと思っています。

 

勝木 私は「もみわかめ」も好きなんですよ。おにぎりの中に汐うにが入っていて、その周りをもみわかめがまぶしてあったりすると絶品ですね。実は小さい頃は身体があまり強くなかったので、子どもの時から汐うには滋養強壮として食べていたんです。今では妻も子どもも食べるので、うちでは家族みんな汐うにが好物です。

 

天野 それは嬉しいですね。ひと昔前は福井でたくさんバフンウニがとれ、海女さんや漁師が行商で汐うにを街中まで売りに来ていました。そのおかげで夏になると各家庭に汐うにが登場するのが恒例だったそうです。今は行商に来ることもなくなり、福井の方でも汐うにを知らない方が増えてきているように思います。ましてや汐うにを知っているお子さまは少ないのではないでしょうか。

 

勝木 そうかもしれませんね。最近では福井県産の雲丹が少ないという話も聞きました。汐うにもますます希少な食べ物になってきているので、天たつさんも大変な部分が多いかと思います。

手間暇かけた製法を多くの人に
知ってもらいたい

天野 近年は福井でとれるバフンウニの量が少なくなってきており、国産のバフンウニを吟味してブレンドし、汐うにを製造しています。ただ、福井の浜とのつながりが広がってきているので、年間を通して福井県産汐うにを販売できるように進めていけたらと考えています。

 

勝木 それはありがたいですね。県外の方にはやはり“福井県産”のものをお渡ししたいという思いがありますから。多少高くても福井県産のものがあると個人的には嬉しいです。

 

それが難しいようであれば、天たつさんの汐うにが福井独特の製法であることをアピールすると、国産の原料でもよいのかもしれません。生ウニは生臭くて食べれないという人でも汐うにであれば好む人は多いと思います。塩を振りかけて作る雲丹や瓶詰めのものは山陰など日本中で販売していますが、味わいは全く違う。福井にある汐うには世界中で福井にしかないと思います。

 

天野 汐うには福井ならではの食べ物ですが、バフンウニに塩をふりかけ水分を抜くという、とてもシンプルな製法なんです。ただ、シンプルな分、どの工程がとても重要で手間のかかるものになっております。

勝木 私も汐うにの製造方法を知ってはじめてわかったのですが、バフンウニって驚くほど小さいんですね。寿司屋にある大きなウニから作っていると勘違いしている人も大勢いるのではないでしょうか。直径2〜3センチほどの小さなウニをひとつずつ、手作業で殻から卵巣を取り出すのは大変な手間だと思います。もっと多くの方に知っていただきたいですね。

より多くの方に汐うにを
知ってもらう方法とは

天野 勝木さんにとって、手土産はどのような基準で選ばれるのでしょうか。

 

勝木 「信頼のおけること」が一番の理由です。特に食品は安心感があることが大事だと思っています。そういう点で、天たつさんで販売されている商品に関してはうそ偽りがないと感じています。私は天たつさんの江戸の地図を使った包装紙と手提げ袋がとても気に入っているんです。信頼感を表すパッケージも良いですね。

 

また、「日持ちがする」ことも重要なポイントです。賞味期限が短いと「早く食べて」とお伝えしなければならないので、贈る際に難しくなります。天たつさんの商品は、汐うにや汐うにを粉末状にした「粉うに」など、常温で数日持ち歩いても問題ないので安心です。 

 

天野 ありがとうございます。この貴重な機会に、ぜひ天たつの商品についてまだまだ率直なご意見をいただき、天たつの商品をより良いものにできればと思っております。

 

勝木 先ほど汐うにの製法についてお聞きしましたが、原料の問題を考えると、販路をこれから拡大をしていくのは難しいのかもしれません。天たつさんではウニを使った商品以外も充実しているので、一夜干しの干物などは今後需要が拡大していくのではないでしょうか。

汐うにと同様に福井らしい原料でできると、良いかもしれません。

 

より裾野を広げ、多くの方に天たつさんのことを知ってもらうためにはイートインもひとつの方法です。最近では小売だけでなくイートインができる店も増えていますよね。福井にはおいしいお米と味噌がある。あとは天たつさんの品ぞろえだけでもランチができそうです。

 

天野 ありがとうございます。やはり実際に食べてもらうことは重要だと感じています。

 

勝木 福井の食といわれてパッと思い浮かぶのは今は「越前がに」くらいかもしれません。しかし食品の老舗は、地域の食を映すとても大事な存在だと思います。天たつさんの商品はある程度高価かと思いますが、それは長年の歴史で培ってきたブランドだからできること。これまでのお客様を裏切るわけにはいかないという責任もあるかと思いますが、福井にとって大事な企業ですので、今後もぜひ頑張っていただきたいと思います。

 

PROFILE
株式会社勝木書店
取締役会長
勝木健俊様
 
役職名は取材当時のものです。

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