天たつと私
vol.05
時代に合わせて変化を続ける、
天たつの味。
時代に合わせて変化を続ける、
天たつの味。
福井放送株式会社
専務取締役
営業本部長
白﨑明信様
株式会社天たつ
十一代目店主
代表取締役社長
天野準一
2017.02.02

ここぞというお客様に
渡したい汐うに

 

天野 いつも天たつの商品をご愛顧いただきありがとうございます。お使いいただく中で、気になる点やご意見をお聞かせいただければ幸いです。普段はどのようなシーンでご利用いただいているのでしょうか。

 

白崎 天たつさんの商品は、会社としておもてなししたい方にお渡しすることが多いです。福井のお土産としてのブランドや価値があるので、弊社の会長も好きですね。天たつさんで買えばちゃんとした物を出してくれるという安心感と信頼感があるんです。

 

天野 ありがとうございます。大変嬉しいです。

 

白崎 汐うにもよく購入するのですが、あくまで珍味なので好き嫌いはあると思います。貴重な上に手間暇かけて作られている品物なので、喜んでいただける方にこそお贈りしたい。ですので、相手の方が好きかどうかわかってからお渡しすることが多いです。

 

例えば、ある大学の教授たちと会食をした際に、そのお店で作った汐うにが少し出たんです。それを食べた教授たちから「これ、なんておいしいの!」という言葉が出まして。会長と目くばせしてそのお店の女将さんに「天たつさんに走って汐うにを3つ買ってきて」とお願いしたことがありました。別の会食でも「福井の汐うにって美味しいですね」という話題が出たので、その方々が来られる時には天たつさんの汐うにをお土産にお渡ししています。

 

またある時は、弊社の年賀会で某フィルハーモニー交響楽団の方々にお越しいただいたことがありました。「お土産に天たつさんの汐うにをお渡ししては?」と社内で話が出たのですが、初めてお会いする方ということもあり好みがわからず迷っていたのです。そこで、関係者の方に少し伺ってみたところ「今日来ているメンバーは、みんなお酒が好きなので汐うにも気に入ると思います」とのこと。安心して天たつさんの汐うにを手土産に用意しました。

 

ここぞというお客様で珍味が好きな方にお渡しする手土産は、天たつさんの汐うにが福井では一番ではないかと思います。

 

天野 ありがとうございます。いろんなお気遣いのなかで天たつの商品をご利用いただいていることがよく分かりました。

隠れた人気の粉うに・干うに

白崎 最近ではお酒を飲まれない方も増えていると思いますが、汐うにはお酒だけでなく温かいご飯にのせて食べても絶品なので、お酒好き以外の方にもお贈りしたい商品です。しかし、せっかくなら「値打ちもの」だと分かってくださる方に差し上げたい。汐うにほど珍味すぎず、お酒にもごはんにも合う。その点で雲丹ふりかけ(粉うに)は、新しい取り組みとして良いのではないかと思います。

 

天野 粉うには汐うにを乾燥させて粉にしたもので、ウニが好きな方であれば気に入っていただける商品かと思います。父と私の二人で考えた合作で、おかげさまで売れ行きは好調です。もう一つ、父と考えた商品で「干うに」というものもありまして。この二つはぜひ良くしていきたいと思っています。

 

白崎 干うにはどのように作るのですか?

 

天野 汐うには生のバフンウニに塩をふりかけて水分を抜いて練りこんで作りますが、干うにはバフンウニを塩ゆでした後に干し揚げます。生臭みや磯の香りは極端に減りますが甘味が濃く出ます。

 

白崎 そうなんですね。ウニの生臭みが苦手な方には干うには一つの選択肢になりますね。

 

天野 ありがとうございます。福井では認知度の面から圧倒的に汐うにが選ばれる傾向にありますが、東京の百貨店の催事に出展すると、汐うにと干うにが6対4ぐらいで干うにが出ました。

 

白崎 我々は汐うにに慣れていますが、実はさまざまなニーズがありそうですね。弊社は福井県民に対して情報を発信するだけでなく、県外の人に福井の良さを知ってもらうことも大きな使命だと思っています。福井の名所旧跡だけでなく優れた食べ物については、直接お渡ししたり説明することも多いんです。汐うにや粉うに、干うにも福井が誇る食べ物として紹介していきたいですね。

何百年と続く老舗の共通点

白崎 天たつさんは汐うにだけでなくいろいろな新しい取り組みをされてるし、ワカメや魚の処理も非常に丁寧に仕事をされていると思います。私が一番好きなのは「黒作り」なのですが、妻がなかなか買ってきてくれなくて(笑)。

 

天野 ありがとうございます。黒作りは北陸地方に伝わるイカの塩辛。イカ墨を入れているので真っ黒な見た目に驚かれるかもしれませんが、通常の塩辛に比べてコクがあって美味しいんです。私も大好きです。

 

白崎 何日か経って食べてもいい味わいで、口に入れた時に違和感が全くない。いい物を作っておられるなと思います。黒作りは富山で作られていることが多いのですが、10年か15年ほど前に天たつさんでも販売していると知りました。

 

天野 はい、実は天たつでも何十年も前から作っています。勉強のため富山の老舗が作っている黒作りを食べたことがありますが、昔ながらの製法で作るとどうしても塩辛くなってしまいます。最近は健康に気を遣う方が多くなってきているので、できるだけ塩を薄く、しかし味気ないものにならないようバランスを見ながら塩加減を調整しています。

 

白崎 時代に合わせて味を変えていくのは老舗の仕事として大切なことかもしれません。時代とともに人の味覚も変わります。食べ物に関していうと、どの老舗も100年前と今とでは微妙に味が変わっているのではないかなと思います。

 

実は私の実家も食べ物を扱う商売を100年以上やっていたんです。お客さまの宴会に出すのと同じ物を晩御飯で食べていたので、おいしい魚を食べるのが当たり前でして(笑)。その期待を超えるほどのおいしい魚に出会うことはめったにないんです。外食した時に「いまいちだなあ」と思うことはよくありますが、天たつさんの商品はネガティブなことを思わず美味しく食べられます。

 

天野 それはとても嬉しいです。ありがとうございます。

 

白崎 何十年と変わらず同じ商品を作り続けている老舗は多いですが、維持はしていても大きくはなっていないと思います。常に時代を見て、消費者が何を求めてるかを考えて時には変化しながら商品を作っていく。天たつさんをはじめ何百年も発展を続ける老舗の共通点はそこにあるのではないでしょうか。

もちろん全てを変えてしまうと、これまでのお客様が戸惑ってしまうと思います。定番の商品をリニューアルするのか、新しい商品を作るのか、その時どきの判断で少しずつ進めていくことが大事なのでしょうね。天たつさんのこれからを楽しみにしています。

 

天野 ありがとうございます。さらに良いサービス商品でお返しできるよう努力いたします。これからも「何かおかしいぞ」と思うことがあれば、遠慮なくご意見をお寄せください。

 

白崎 天たつさんの顧客は味にうるさい方が多いでしょうから。私も時折味をみて確かめたいと思います(笑)。少なくとも、私はいつまでも天たつさんのファンですから。

PROFILE
福井放送株式会社
専務取締役
営業本部長
白﨑明信様
 
役職名は取材当時のものです。

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