「福井の汐うには必ず世界の人に喜ばれるから頑張りなさいよ」と熱い言葉を掛けていただいて。
湯浅 社長に就任されて何年になるのですか。
天野 5年ですね。
湯浅 私が本店営業部の副部長の時にお目にかかったのが初めてですよね。
天野 そう考えるとあっという間の5年ですね。
湯浅 あの頃から天たつさんには当行の担当がいて、私が部長になってからは特によくご報告をいただけるようになって。それから距離感が縮まりました。 われわれは県外からお客さまがいらした時に、お土産を互いに交換するんです。その時に「ではこちらをお持ち帰りください」と、天たつさんの商品を使わせていただくことがあるのですが、高級な物が入っていても小さくて軽いと何か気が引けるなというのがあったんですね。それで、「これはちょっと考えましょうよ、社長」というところから始まって、いい案配を考えていただくようお願いしたところで…
天野 もみわかめのびん詰めをご提案させていただきました。
湯浅 そういうやりとりをしはじめた頃から距離感が縮まったかなと思っています。たしか3年前、香港でもご一緒させていただきましたね。福井県の食材を海外に売り込もうという県の企画で。
天野 汐うには「日本三大珍味の一つ」と言われていますけれども、福井以外ではあまり知られていない。ましてや、世界全体でいうと誰も知らない。福井で200年食べられている汐うにを海外の皆さんにも食べていただきたいなという思いがありまして、その第一歩としてご一緒させていただきました。
湯浅 とにかく打って出ようということで、「いい文化があるのだからずっと続けていかないといけませんね」と申し上げました。一瞬だけ売れてもだめで、私どもとしても福井の銘店として応援しておりますということで。
天野 あの時、湯浅様に「福井の汐うには必ず世界の人に喜ばれるから頑張りなさいよ」と熱い言葉を掛けていただいて。あれは忘れられなかったですね。あの後、フランスやニューヨークで展示する機会があって、実際に「おいしいね」と言ってくださる声もいただけるようになりました。