天たつ 十一代目店主 天野準一のことを書かせていただきます

こんにちは

天たつ 十一代目店主 天野準一です

今日は、天たつが目指すところをお伝えしたく思い、私のことを書かせていただこうと思います。

私は天たつの末っ子の長男として生まれ、今年で40歳になります。

二百年続く天たつの息子であることは、子供のころから意識していました。

周りの大人や学校の先生からは「天たつさんの息子か」と言われ、なんとなく誇らしい思いをした記憶があり、また子供の時には母親から「あなたは天たつの息子だからね。将来は天たつで仕事をするの」と言われた記憶もあります。

以前、老舗を研究する大学教授と話をさせていただいた際に「老舗は世間が育てる」という話をされておりましたが、私の経験としても一理ある話だと思います。

母からの言葉も、当時は「そんなものか」と思いながら聞いておりましたが、おかげ様で迷いなく天たつに入社をする決意を持つことができました。

とはいえ、若いときはやりたいことがありました。

中学生からスノーボードにのめりこみ、大学で東京に行ってからは冬になると新潟にスノーボードをするために通い、大学卒業してからはスノーボードの専門学校に入学し、三年間、長野の山にこもりながらスノーボードの技術の上達に熱中をしておりました。実はスノーボードの世界は完全な縦社会で、お酒の席での振る舞いや人との付き合い方など、このときに大変勉強をさせていただきました。

プロ資格を取るために大会などにも出て、インストラクターの資格も取りました。

スノーボードの専門学校に入る際に父にそのことを告げると、「俺の代で天たつはたたんでもよいから好きなことをやれ」と言われました。

そう言われると、そんなわけにはいかない、と思うもので、その時に25歳でスノーボードはやめて、商売の道に入ろう、と決めました。

そして、ちょうど25歳のシーズンが始まる前に練習中に怪我をし、そのまま無理をおして雪山にこもり、練習中に同じところを怪我をして、最後の年に大会などにも出る事なく山を下りました。その時は残念無念と思いましたが、あとで考えるとご先祖様、神様は見ていてくれて、やるべきことを教えてくれるものだ、と思います。

その後福井に戻り、父に天たつに入らせてほしいという話をしたところ「仕事もしたことがない人間が来ても使い物にならない。外で勉強してこい」と放り出されました。

そこで、百貨店に良いものが集まるから百貨店にのれんを連ねる店に就職しようと考え、1週間ほどかけて東京の百貨店を周り、東京湯島に在る丸赤さんという魚の干物屋で仕事を3年弱ほどさせていただきました。

丸赤さんの社長は下町気質のある、大変厳しくも優しい方です。

最初に仕事をさせてほしい旨の電話をしたときは「うちは人をとってないから」と言われ一方的に電話を切られました。すぐにもう一度電話をし、伺って話を聞いていただく時間をもらい、後日お会いし事情を話したところ、その翌日から仕事をさせていただくこととなりました。

私は人に恵まれ続けていて、転換期には必ず会うべき方にお会いしています。

丸赤さんでは短い期間ではありましたが、築地についていき、仕入れから、仕込み、販売など多くのことを勉強させていただきました。

その後福井に戻り、製造に携わり、販売にも立ち、お客様から、従業員の皆さんから、何よりも両親から天たつを教えていただきました。

家業として守り伝えてきた「越前仕立て汐うに」と、それを生み出した「天たつ」というブランドは切っても切れないものであります。

天たつが汐うにを生み出したきっかけは、福井藩主松平様よりの御用命にて創られました。

その汐うにの原料であるバフンウニが福井で、日本中で急激にとれなくなってきています。

それらのことを考え、これからの天たつとお客様を想い、「ただただ喜んでいただける、美味しい雲丹を創り続ける」という経営理念を創るに至りました。

これは弊社天たつ三代目天野五兵衛(あまのごへえ)が汐うにを考案する際に、お殿様のお口に入るものであらば、労を惜しまず、原料の金額も考えず、ただただお喜びいただける美味しいものを創らねばならない、という想いから始まります。

そして現在世間には、ウニは美味しくないもの、と思っている方が多くいらっしゃいます。世間には輸入されたウニが多く出回り、中には保管状態や使われる保存料の関係で薬臭いような香りのするウニも見受けられます。子供のころにそういったウニを食べれば、ウニ嫌いになることはあるかもしれません。しかし嬉しいことに、ウニが嫌いとおっしゃる方でも天たつの汐うになら食べられる、とお買い上げいただくことが度々あります。

本来ウニは美味しいもの。

天たつはお客様の食べるシーンを想像し、そこにあった雲丹の商品を創り続けることで、お客様にお喜びいただけるものと考えています。

そこに思い至り、2016年9月に父から代表職を受け継ぎ、個人商店の天たつから法人化し、株式会社天たつとなりました。

周りからは、なぜ法人化をしたのか、と言われたこともありましたが、今まで以上に多くの方に雲丹で喜んでいただきたい、という父と私の気概を表すためでありました。

まだ始まったばかりではありますが、雲丹でお客様にお喜び頂き続けられることだけを純粋に追い求めていく所存です。

これからもお客様とお話をさせていただきながら、願わくば一緒に天たつを創っていきたく考えておりますので、多くのお声をお聞かせ賜りたく心より願っております。

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