年越しの汐うには甘くなる、という言い伝えを科学的に検証しました

こんにちは

雲丹商 天たつ 十一代目店主 天野準一です。

弊社天たつは200年来雲丹を扱い続けており、日本最古の雲丹商とも言われております。

そんな私共天たつが止まることなく続けてきたことは「その時代時代の皆様に、ウニを美味しく食べていただく」ための研究です。

天たつが200年前に考案し、日本三大珍味の一つともいわれる越前仕立て汐うに(以降「汐うに」と記載)は、バフンウニから塩の作用のみで水分を抜き取り、保存性を高めつつ旨味を凝縮した食で、福井藩主松平様より徳川将軍家、各大名家、天皇家、宮家へ贈り物として使われ続けておりました。

この汐うに、今の皆様に美味しく食べていただけますよう少しづつ少しづつ、変え続けております。

昨日より今日、今日より明日、より美味しい雲丹を創ることを目指し、研究を続ける中で、熟成による味わいの変化を化学的に見えるようにしたいと考え、2年前から福井県食品加工研究所様にご助力を頂きながら時間の経過とアミノ酸量の変化を測定してまいりました。

熟成の研究をするきっかけは、九代目でもある祖父からよく聞いていた「年越しの汐うには甘くなる」という話でした。

夏にとれたバフンウニを汐うにに仕上げ、おいておくと、年を越えたころに甘くなる、というもので私も経験的に感じることがあり、これを科学的に見えるようにしたいと思い始めたものでした。

様々な測定結果がある中で、一定の温度帯にて保管を6ヶ月経ることで苦み成分の一つでもあるメチオニンの消滅を確認することができました。

元来アミノ酸量が多いバフンウニ。

そのバフンウニの甘味、旨味、苦み、様々な遊離アミノ酸で構成される味わいの中で、旨味、甘味を感じさせるアミノ酸は微増をし、全体の1割程を占めるメチオニンがなくなることで甘み、旨味をより感じるようになります。

この研究結果は今後の天たつの、福井の汐うにの味わいの向上に大きく寄与してくれるものと思います。

この度粘り強く、汐うにの成分検査と検証にお力添えを頂きました福井県食品加工研究所久保義人所長に心より感謝をいたしております。

これからも、私共天たつは今の時代のお客様にただただ喜んでいただける雲丹を創り続けられますよう精進してまいります。

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