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礼文島でも浜によってバフンウニの味わいが違う。トロリと柔らかで芳醇な甘みの船泊のバフンウニと、甘み爽やかでしっかりとした身質の香深のバフンウニ

こんにちは

御雲丹商 天たつ 十一代目店主 天野準一です

礼文島は本当に良いバフンウニのとれる島です。

礼文島には北に位置する船泊と、西に位置する香深という二つの浜があり、それぞれに味わいの違うバフンウニがとれます。

船泊のバフンウニは身は小粒で柔らかめ、食感としては少し弱めではあるのですがその芳醇な磯の香りと甘味には魅了されるものがあります。

始めて礼文島に降り立った時の、島中に漂う潮の香りが今でも忘れられないのですが、その潮の香りが凝縮したような味わいのバフンウニです。

香深でとれるバフンウニは粒がしっかりとした立派な身質と鮮やかな色合いで、果実を食べているような爽やかな甘みを持ちます。


この二つの浜は距離にして車で30分ほどしか離れておらず、食べているものと言ったらどちらも利尻昆布。

また海岸の風景も似ていて、岩場もあれば砂地もあるという感じなのですが、何がここまで味わいの違いを生んでいるのか。

一般的に食べているエサによってウニの味わいは変わる、と言われていますがそれは半分正解といったところかと思います。今回の北海道の視察で分かったことは、海の水によってウニの味わいは変わるということでした。

海の水を構成する要素は3つあります。
一つは海流。礼文島のあたりは時期によってはリマン海流と対馬海流がぶつかる潮境にもなるようで、プランクトンが豊富で、一年を通して複雑な海の流れがあります。海流のぶつかり合いによって豊かな藻場が育まれ、豊富な魚介がそこに住みます。
二つ目は陸からの水です。

お隣の利尻島には利尻山という1700メートル級の高い山があり、そこで降った雨は100年かけて伏流水となり海底から湧き出ているといわれています。

対して礼文島には高い山がありませんので、海に流れ込む、また海から湧き出てくる伏流水も利尻とは違い、また礼文島でも北側と西側では違い、その海域に育まれる海藻も違う海藻群が育ちます。

バフンウニは何でも食べるので、利尻昆布を食べながら、近くにあるその海藻群の海藻を食べることで船泊のバフンウニの味わい、香深のバフンウニの味わいが育まれていくのだと思います。

そして三つめは海岸線の形状です。

船泊、香深それぞれいくつかの海岸で海水を飲み味を見たのですが、総じて岩場は磯の香り強く甘みを持った海水が多く、砂利から砂場になると香りも穏やかでさっぱりとした味わいの海水になるようです。その海水の中で育つバフンウニは、やはりその海岸線の特徴を持った味わいになるモノだと考えます。

海流と、陸からの水と、海岸線の形状、この3つの条件によってバフンウニの味わいは形作られることになるものと思います。

もう一つ、この船泊と香深で決定的に違うことは漁獲するバフンウニの許容サイズの違いです。
船泊は最低4cm以上であれば漁獲してよいのに対して、香深は最低5㎝以上ないと漁獲してはいけないことになります。

この漁獲サイズもバフンウニの味わいに大きな関係があります。見た目を考えると身の大きなオレンジ色の濃いバフンウニというのは良いウニと言われますが、実際の味わいの点でいうと身は小さめのウニの方が味わいが濃いことが多くあります。

一概には言えない特徴ではありますが、船泊と香深、それぞれの浜の味わいの違いの中にそのような要素が含まれているのではないかと考えています。
何にせよ、両浜ともに大変良いバフンウニをだされる良浜。

これだけ良いバフンウニを目の当たりにすると、どの海域の塩と合わせると最大限に美味しさを引き出せるのか、色々と想像を巡らせワクワクしてしまいます。