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汐うに熟成加工場「雲丹蔵」に想う、汐うにの未来

こんにちは

福井雲丹商 天たつ 十一代目店主 天野準一です

昨年11月末に、現在の製造場裏の敷地に越前仕立て汐うに熟成加工場(通称 雲丹蔵)を建築し、2023年2月下旬より本格稼働を始めます。

「夏に作った汐うには、年を越えると甘くなる」

先々代よりも、もっとずっと前から言い伝えられてきた言葉です。

夏につくられた汐うにが、半年たって、新しい年を迎えるころに甘みが増すという話です。

実体験としても「年を越えると汐うにが甘くなる」経験を私自身しておりました。

ある日、これは汐うにの新たな美味しさを創るきっかけになるのではないかと考え、4年前から福井県食品加工研究所様と共同研究をし、一定の期間を保管した汐うには熟成(消化酵素による自己分解)によって一部のアミノ酸数値が増減し、ある苦味と硫黄臭を発生する、いわゆる嫌気風味を生むアミノ酸に関しては消失する、という研究結果が出てきました。

それから汐うに熟成加工場「雲丹蔵」の構想が立ち上がり、2年がかりで建設に至りました。

熟成の進み具合は温度と時間の掛け算です。

天たつではもともと日本各地の浜ごとに違うウニの味わいに合わせ塩の加減と熟成期間を見極め、最も美味しくなったタイミングでブレンドをし、旨味の相乗効果をお客様に楽しんでいただいております。

今回、雲丹蔵では3つの温度帯の熟成倉庫を備え、ウニの状態に合わせて熟成を早く進めたい汐うには比較的高めの温度帯の熟成庫に、逆に熟成をゆっくりと進めたい汐うにに関しては低い温度帯の熟成庫に、それぞれ保管をし最も味わいの良いタイミングでそれらをブレンドすることで、これまで以上に高い品質での均一な美味しさを一年間を通してご提供できるようになります。

とはいえ、まだ研究途上の部分もありますので今日より明日、少しでも美味しい汐うにを創り、未来においても福井の雲丹文化が楽しまれるよう、一歩一歩精進してまいります。