第一織物株式会社 吉岡隆司様

2017.10.25

大きな財産を先祖から頂いているのだから、

名に恥じない商品づくりをしないといけない。

私が天たつさんで買う商品は、主に3つです。他の品物も食べたことがありますが、1番は汐うにです。そして、うに豆、もみわかめの3つが中心です。用途としては圧倒的に贈答用が多く、かなりハイレベルな方へのプレゼントとなります。そういった方々は本物の味をご存知です。価値の分かる方にプレゼントする様にしています。

 

汐うにをプレゼントする方にあらかじめ、先方のお好みをリサーチするような事はないのですが、福井に来られて会食する時などに、お料理に出た汐うにをご覧になって「これは何ですか?」と仰るので「日本三大珍味の汐うにです。」と申し上げる。汐うにというと、皆さんムラサキウニのイメージがあってバフンウニはご存じない。寿司ネタのウニのイメージを持たれていて、あれが乾燥しているのかな?ぐらいの感覚なんですよね。実は違うんですよということを申し上げて、その場でお客様の反応を見ていると「これは美味しい」という反応があって、その後プレゼントすることになる。汐うには、ご存じない方に差し上げるには非常にリスキーなプレゼントではあるんですよ。

相手の趣味を知らずにお渡ししても

全然効果がありません。

私は、先方に何かしら先に食してもらうような機会をつくって、それからプレゼントしています。もしくは、少量の品物をご用意して「こんなに小さいので失礼かと思いますが、お好きな方とそうでない方がいらっしゃるので一度試してください。」と。または、東京や大阪で会食する時に「皆さん一緒に食べてみましょうか。」といった機会を設けます。プレゼントは相手の趣味を知らずにお渡ししても全然効果がありません。

初めての方には

手土産で塩うにを持っていったりしません。

海外への贈物ですと、昆布巻きを持って行ったりします。重たいプレゼントで喜ばれるのはお米と昆布巻きでして。海外駐在の日本の方はとても喜んでくださる。なかなか海外のスーパーでも売っていないですからね。海外に天たつさんの汐うにを持っていくこともありますよ。だから天たつさんの汐うにのファンはパリにもミラノにもいます。ミラノの方で、福井に泊まった時に天たつさんに買物に行ったという声もありました。そこで初めて自分で買って「こんなに高いんだってはじめて知った」と仰ってましたね。

海外に汐うにを持っていく時は、日本の駐在員や現地法人のトップという方に持っていきます。私と交流がある方ですね。初めての方には汐うには好きか嫌いかわからないので手土産で持っていったりはしません。非常に親しくしていて、趣味もわかっているというときのプレゼントにしています。先日プレゼントしたのはファッション業界ではとても有名な会社の社長さんで、非常に喜んでおられましたね。そういう方に持って行くプレゼントは、出来ればなかなか手に入らないものがいい。だから、夏は汐うにだし、春の新わかめが出たころは板わかめともみわかめを持って行きます。一般に持っていくのは、年がら年中、うに豆です。

 

プレゼントする時に困るのが

賞味期限の問題です。

天たつさんは粒うに10日と汐うに20日。不思議なのは越前仕立て汐うにと粒うにでなんで10日も違うのかということで。

 

私も詳しくは知らなかったのですが、粒うにというのは、塩を薄くして作ってあるという事と、空気にふれる表面積が多いという事で、どうしても傷みやすいということですが。そういう事を保存の方法として書いていただいた方がいいと思います。ほんとに失礼に当たる時があるんです。1週間の旅行に持って行くと、相手に渡すまでに何日かかかるときがあるので。ですから、ひとつひとつ買いにくわけです。本当は、まとめて買って自分の所の氷温庫に入れて持って行けたら楽なんですけれど、その都度買いに行かないといけないんです。相手が大切な方であればあるほど、贈る側は賞味期限を気にしますからね。法律の絡みなのかは分かりませんが、そもそも汐うには保存食ですから。品物の中に「こうしたら長持ちするよ」って書いてあるのに、なぜもっと大きく分かりやすく書かないのかとか、要冷蔵って書いてあるのに中を見ると「常温で1~2日は持ち歩いてもいいですよ」とか。この矛盾を天たつさんはどう考えてるのかとお聞きしたいですね。どちらかに統一して欲しいと思います。

やはり歴史と伝統と

本物志向というのがないと困ります。

それともうひとつ。汐うにの器にあれだけこだわっている天たつさんが、どうして、板わかめは普通のまんじゅう箱みたいな箱なのでしょうかね。板わかめを箱に入れて、5袋とか3袋とかパッキングしてもらうと、普通の段ボールの箱じゃないですか。板わかめって1枚1000円近いでしょ? 5枚も入れたら5000円するんですけど、とてもじゃないけど5000円のラッピングじゃないですよね。ものすごくチープだと思います。

 

ラッピングは、アジアの方は特にすごい。たとえば中国では高い品物だったら、5センチ四方くらいの商品入れるのに50センチ四方くらいの箱になります。欧米人もラッピングはものすごく重視する文化があって、日本人は意外と気にしてないのかなって思います。天たつさんの紙袋は良いですよ。とてもおしゃれだし、日本の伝統的な感じがしていい物を使っているけれど、どうしてわかめを入れる箱だけ吟味しないのかと。あれはちょっと残念に思いますね。詰合せもあんまり吟味した箱じゃないですし。

 

なぜ天たつでさんで買わなければいけないのかという事を考えた時、やはり歴史と伝統と本物志向というのが無いと困ります。味はもちろん、そういう所にまで気を遣ってくれると「ああ、さすがだ」となりますけれど、汐うに以外は意外とそうでもないのかなと思います。天たつさんで品物を買う人ってご贈答の比率が高いと思うんです。自分の家で食べるんだったら袋でもいい。だけど、ご贈答用になるとパッケージはとても大切になります。日本の伝統的なお店は本当にこだわってますからね、どこのお店でも。いつも天たつさんのパッケージは「ちょっと……」と思うんです。

 

パッケージは難しいところがあって、オーバーすぎるのも困ります。中国でもらう大きな箱の贈物は、お茶缶が2つだけ入っている。そうするともう重たくて。だからいつも箱はホテルに置いて、中身だけ持って行きます。こんな仰々しいのはどうかと思うけれど、さりげなくオリジナルであることはとても大事だと思います。オリジナルのデザイン性だと思いますね。デザインにお金を掛けてるか掛けてないかは、風格や品(ひん)として出ます。

まあなんというか

均一性があって美味しかった。

私は物心ついたときから、夏になると海女さんが汐うにを売りに来ていた海の時代の人間で。福井県の三国の安島の海女さんに知り合いがいて、いつも混ぜ物のない一番いい品物の汐うにをプレゼントしてもらって、その代わりにいくつかは買わせて頂いていたんです。汐うには子どもの時から夏の食卓にずっとありました。ご飯のお供にも食べたし、小学生のときから海苔巻きあられに付けた汐うにが大好きで。酒のつまみみたいなものを小学生が食べるなって思うんですけど、親にいつも叱られたのは、これはのぼせあがって鼻血が出るからと言われて。なんで鼻血なんか出るの?って思ったんですが、要するに高いから食べさせたくなかったのか、ともかく一食で食べてよい量は少しだけでした。

 

汐うにを夏じゅう食べて、それと夏は「もずく」というのが定番でした。大人になってからですよ、天たつという老舗があると知ったのは。それで、高いけど1回買ってみようっていう事で、そのころ食べたのはおそらく今でいう越前仕立ての汐うにだと思いますけど、まあなんというか、均一性があって美味しかった。海女さんが持ってくる汐うにって、ところどころ黄色いのがちょっと入っていたりとか、すこし味の違うところがあるんですよ。でも、天たつさんのはすごく均一性がある。だけど「なんて高いの」って。

 

味のこともあると思うし、いろんな条件があると思うんですけれども、他社ではなくて天たつさんの品物を買う理由は、美味しいからです。味のレベルが違うなっていうのが分かるから。それできれいに分かれるんですよ、また。粒うに、福井産、国産と。好き嫌いじゃなくて、好きな人にとっては目をつぶって食べてもランクが明確に分かります。今と関連した話なんですけれども、贈答品として贈られた相手方からご感想の電話をいただいたりとか、お手紙いただいたりってこともあります。こないだイタリアのおじさんが「これぞ逸品!」って写真付きで送ってくれたたのですが、酒飲みはみんな好きだと思います。(個人の主観です。)

 

しかし、粒うにで品切れになっているのは天たつさんだけですよ。よく売れるのか、入れる量がそんな多くないのかどちらか分からないですけれども、たしかどこかの他所のお店はありましたね。旬だからね。バフンウニを捕るのって期間がものすごく限られているでしょ。天たつさんは輸入品は扱っていない様ですが、韓国で作って練りうにとして持ってくる人もいるみたいですね。

そのブランドを信じている人たちが買ってくれる。

そのこだわりってすごく大事だと思います。

混ぜて均一化するっていうやりかたが日本の工業社会のやり方で、今までの高度経済成長のやり方なんだけど、どちらかというと天たつさんのビジネスってそことは比例しないビジネスなんですよね。だから、あなたの代になっていきなり工場生産になっていきなり100倍売るとかいうのは難しい。だから逆にどう細かく仕分けできるかっていう、専門店ってその仕分けって大事だと思うんです。

 

たとえばデニム専門店って、今は日本もそうなってきましたが、本場のアメリカでは形・色・サイズなど細分化されているわけですよ。高級な店であればあるほど細分化されて、ぴったり合うんです。そこにこだわる人が、それだけの対価を払ってもそうしたいって人しか来ない。だから福井のものと他産地のものを混ぜずにきちっとブランディングすること。こだわる人はそちらに行くかもしれませんし、今の時代ってそういう時代に変わってきたと思います。

 

我々の生地もそうなんです。中国で作った生地と日本の外注で作った生地は、おそらく3倍ぐらいは値段違うはずなんです。ですから、こだわらない人は弊社の生地は買いません。たとえば安価で大量生産大量販売される企業は弊社の生地は高くて使わないし、弊社も生産量という点から供給できない。けれども、モンクレール、グッチ、プラダというようなお会社がそのちょっとした差を選んでくださるわけです。そのブランドを信じている人たちが買ってくださる。そのこだわりってすごく大事だと思います。今から三連発で第一織物と大手航空会社のコラボ企画が出ています。今とてもコラボレーションが多いです。

 

天たつさんもこだわりの所にいるんですよ。こだわりのある人に合わせようと思ったら、細分化も必要なのかもしれません。まったくお客様目線じゃないけれど、経営者目線で言うと次なる柱をどうやってつくるかですね。今、汐うに以外にいろいろ出されていて、粉うに、干し雲丹もあるんだけど、私は「うーん……」と思うんですよね。やっぱりいくつかあった方がいい。季節ごとにあったら一番いいんですけれどね。

 

汐うにはメインディッシュではないと思うんです。 メインディッシュではないんだけど、ピリリと効いているとか、食卓にあると豊かになるというのが天たつさんの商品のイメージなんだろうなと思います。そう、嗜好品ですね。汐うにが好きな人は、他に何が好きかって言ったら、絶対このわたも好きだと思います。だけど、あれこそ日持ちしないでしょ。このわたで思い出すのは、子供の頃、正月になるとこのわたが出てきたんですよ。酒の肴に父親が竹の筒から出してハサミで切りながら食べていて。子どものときからそれが大好きで、「これは高いんだから」って言われながらで分けてもらって。子どもの時からこのわたが大好きで。塩辛系統も好きですよ。だから、汐うに、このわた、塩辛というような流れにするのが広がりがいいかなと思います。毎シーズン買ってもらえるって一番いいじゃないですか。何があるかって言うと分からないけど、思いっきり旨い塩辛作ってくれたら一番いいけど。思いっきり旨いうにくらげとかね。カニで何か作るとかね。

 

 

笑い話ですけど、私が居酒屋にある「たこわさ」を知らなくて、中国の日本料理屋で初めて食べましてね。旨いよね。こんな旨いのに、どうして日本で食べなかったのかなと思うんですけど、料理屋には行くけれど居酒屋にあんまり行かないからだと思うんです。昔はたこわさびなんてなかったですよね。あれは最近になって誰かが開発したんだと思んです。だからうにわさびなのかもしれないし、何が合うわからないけれども、そういう系統って天たつさんらしいですね。合わせ技で。汐うにと旬の食材でからめて春夏秋冬。で、特別な汐うにと並んで何か新しいものを。老舗の天たつというブランドがあるから、誰も真似できないでしょう。大きな財産を先祖からいただいているんだから、名に恥じない商品づくりをしないといけない。

 

私がよく行くお料理やでは締めは汐うにのおにぎりなんです。僕が行くとうちのテーブルだけ汐うにのおにぎりです。(笑)。初めて食べる県外の人は「何ですか、この旨いのは」って反応してくれる。そこで「あ、好きなんだな」って判断する。気が置けない人とはそういうお店によく行きます。 まあ天たつさんも頑張ってください。

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