日別アーカイブ: 2020年12月8日

浜に伝わる、汐うにと酒の流儀

こんにちは

福井雲丹商 天たつ 十一代目店主 天野準一です

よくお客様にご質問されることの中でとても多いのが「汐うにはどうやって食べると美味しいのか」という内容です。

私ども天たつの一番のおすすめはお酒の肴としてお召し上がりになること。

少しづつ口に入れて、なめ溶かしながらお酒を頂くのが良いのですが、ここで昔から福井の浜に伝わる汐うにでお酒を飲む際のやり方をご紹介させていただきたく思います。

一回に口に入れる量は小豆(あずき)粒程度の大きさの量が良く、その汐うにを上あごの裏、もしくは前歯の裏にしっかりと塗り付けます。

口の中に張り付いた汐うにを一なめし、お酒を一杯いただき、また口の中で汐うにを一なめする。それを繰り返すという簡単なものなのですが、浜では小豆粒一粒の大きさの汐うにでお酒を1合飲める、と言われており、お酒を好まれる方には大変喜ばれる飲み方でもございます。

またお酒を飲まれない方には汐うにおにぎりが大変お勧めです。

熱々ご飯を塩だけで握り、中に親指の爪の大きさほどの汐うにを埋めていただきますと、蒸気でとろりと柔らかくなり、おにぎりの周りを福井名産のもみわかめや焼きのりで巻いてお召し上がりいただきますと、本当に美味しいものでございます。

私は雲丹屋の息子として育てられたため、子供のころからお弁当に汐うにおにぎりが入っていました。今でも汐うにのおにぎりは大好きで、お酒の後の〆のご飯に食べることが、私の幸せの一つです。

汐うにをお召し上がりになる際にお気をつけ頂きたいこととして、口に入れた楊枝や箸で汐うにをとるのはご遠慮いただきたく思います。

次に食べる方への配慮という意味もございますが、何より口につけた箸を汐うににつけることでカビや痛みの原因となることがあるためです。

そのように大事にお召し上がりいただけますと、開封しても1か月は柔らかい状態でお召し上がりいただけますし、1か月の後も乾燥し固くはなりますが元々保存食としての食品としての強さもあり、冷蔵庫に入れて半年から1年ほどはカビなどさえ来なければ問題なくお召し上がりいただけます。

その際は硬く乾燥してまいりますので、荒く砕いたのちに水をひとさじかけて、ラップをまいて冷蔵庫で一日寝かせますと翌日には柔らかく戻ってまいりますし、硬いまま細かくしてご飯や白身魚のお刺身に振りかけて召し上がっても磯の香濃い大層美味しい一品となります。

この汐うに、100グラムの汐うにを創るのにバフンウニ100個を使い、手作業でうにの殻を割り、塩を振り、一粒一粒丁寧に返しながら仕上げ、数年の熟成の後にいくつもの浜の汐うにをブレンドし旨味を重ねる過程を経て、皆様のお口に入ることが許されます。

願わくば、最後までお客様にお喜びいただきながらお召し上がりいただけたのなら、本当に幸せでございます。